Artchevron_rightアイ・チョー・クリスティン 「無数の‘ペースト’」

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アイ・チョー・クリスティン 「無数の‘ペースト’」

By the editors of TECHNÉ, posted at 02:12 PM on September 27, 2013

アイ・チョー・クリスティン
Too Many Fishes
2013年
キャンバスに油彩 170 x 200cm

2013年9月21日(土)から、オオタファインアーツ(東京・六本木)にてアイ・チョー・クリスティンの日本初となる個展「無数の‘ペースト’」が開催されています。

アイ・チョー・クリスティンは1973年、バンドゥン生まれの作家です。アジア諸国のマーケットで熱狂的な人気を誇る、インドネシア現代美術界において傑出した女性作家です。具象と抽象を織り交ぜた描写、さらに色面を重ねたレイヤー絵画に加えて、ソフトスカルプチャーやキネティックアート、大規模インスタレーション作品も数多く手がけて多面的な展開をしています。

本展タイトル≪無数の‘ペースト’≫とは、コンピューター用語としておなじみの「コピーアンドペースト」のペーストが無数に重なった状態を表します。2012年に生まれたわが子との対話を通して、アイ・チョーは、あふれる物、あふれるほどの物を与えてもなお飽き足らず、さらに新しい物を求め、さらに物の次には物語、そして抽象的な思考へとつながる終わりのない消費社会の現実と人間の在り様を感じたと語ります。子供を飽かせることなく興味をひく物を与えることで、コミュニケーションをはかるアイ・チョーの日常が目につくあらゆる物を絵画表面に描きとめる行為として作品化しているのですが、ここでのペーストはコンピューター上での無機質な複製移動とは異なり、わが身の分身であるわが子との緊密で喜びに満ちた日常の置換といえます。
画面全体に散らばる動物や虫、おもちゃ、ネジやソーシャルメディアで用いるスマイルマークなどの無数のオブジェクトは、一見無秩序に画面を構成しているように見えます。しかし、カラフルなレイヤーの重なりと強い筆致の線により、見まがうことなくアイ・チョー独自のものであるといえます。また“ペースト”は彼女のレイヤー絵画制作のプロセス、無数に色層とラインを重ねる技法も示唆しています。

いまだタブーの多いインドネシア社会において、自己の内面を臆することなく作品化し、自身の日常に根差した視点で人生の局面を切り取る。それらは普遍的な現代社会の問題や人間存在を示唆し、あたかも現代の寓話として、私たちに自身と向き合う機会をつくります。本展の会期は2013年11月9日まで。この機会に是非ご高覧下さい。

アイ・チョー・クリスティン 無数の‘ペースト’
会期:2013年9月21日(土)- 11月9日(土)

オオタファインアーツ(東京・六本木)
東京都港区六本木 6-6-9 ピラミデビル 3F
営業時間:11:00 - 19:00
定休日:日・月・祝祭日
http://www.otafinearts.com/

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