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森美術館リニューアルオープン説明会開催

By the editors of TECHNÉ, posted at 11:39 AM on March 25, 2015

南條史生館長

2015年3月24日(火)、改修工事にともなう休館(2015年1月5日~4月24日)を経て、4月25日(土)にリニューアル・オープンする森美術館のリニューアル説明会が開催されました。リニューアル報告の他に、3つの新しいプログラム、レストランやカフェでの現代美術作品の展示など、現代美術をより深く、より多角的に体験出来る取り組みが紹介されました。

冒頭、森美術館館長の南條史生さんは「以前、森稔さんと美術館が出来る前に『現代美術で人は入るのだろうか』という話をしました。しかし、森さんは『現代美術でなければダメなんだ』と最終的に決断し、現代美術でやっていこうと決めた経緯があります。」と、森美術館が現代美術を扱うスタンスについて語りました。森美術館は、創設者である森稔さんの「文化は街のアイデンティティを形成する」という強い信念のもと、森タワーの最上階という視覚的にも象徴的な場所に置かれましたが、当時「現代美術では人が来ない」という声が多勢を占める中、革新的なチャレンジでスタートしました。

森美術館展示デザインチームマネージャーの前田尚武さんはリニューアルに関して、「昨今の現代美術の展示が非常に拡大しておりまして、天井が非常に重要である、という事が分かってきました。東日本大震災では、東北の美術館、都内のいくつかの美術館で天井の崩落がありました。それによって、2014年には国交省により耐震化が義務付けられるようになっています。今回の改修ではそういった安全対策、展示の表現に対することも対応していきました。」と説明しました。吊り作品や吊り装置に対応出来る新しい天井、他の美術館では採用されていない薄い可動型のパネル(ウォーホル展で試験的に採用)、時代の潮流に合わせた白い床、LED照明化など、多様化する現代美術の表現に柔軟に対応出来るよう、展示空間の多機能化が実現されました。

森美術館チーフ・キュレーターの片岡真実さんは新設された3つのプログラムに関して、「世界を取り巻く多様な価値観が現代美術にも反映されてきています。美術館としても、世界の多面性、多様性というものをプログラムを通していかに反映出来るのか、というのを考える中で、これまでのMAMプロジェクトだけでは紹介しきれないのではないかという議論が内部でもありまして、3つのプログラムを始めることになりました。」と説明しました。

MAMコレクション

森美術館は、2005年夏より、企画展のための新作を中心に作品を収集してきました。日本を含むアジアの現代美術に焦点をあてたコレクションは、約400点近くを数えます。リニューアルを機に、常設の展示室を新設し、コレクションを順次多用なテーマに沿って紹介する「MAMコレクション」がスタートします。4月25日からは「MAMコレクション001:ふたつのアジア地図―小沢剛+下道基行」、7月25日からは「MAMコレクション002:存在と空間―ソ・ドホ+ポー・ポー」が開催されます。

MAMスクリーン

1960年代に始まったビデオ・アートは、映像技術の革新にともなって飛躍的発展をとげてきました。MAMスクリーンでは、280インチの大スクリーンで、世界各地のシングル・チャンネル映像作品が会期中に毎日上映されます。4月25日からは「MAMスクリーン001:ビル・ヴィオラ初期映像短編集」、7月25日からは「MAMスクリーン001:ゴードン・マッタ=クラーク記録映像集」が上映されます。

MAMリサーチ

MAMリサーチは、アジア各地におけるアーティスト、キュレーター、芸術運動、インスティテューションなどに注目しながら、政治や経済の背景から生まれてきたアジアの現代アートについて考察し、その歴史的文脈を明らかにしていこうとする試みです。アジア各地のアーカイブ、研究機関、研究者などとの協同企画を前提として、展示は作品に限定せず、映像、写真、文書、資料などが紹介されます。4月25日からは「MAMリサーチ001:グレイト・クレセント 1960年代のアートとアジテーション―日本、韓国、台湾」、7月25日からは「MAMリサーチ002:ロベルト・チャベットとは誰か?-フィリピン現代アートの発展とともに」が開催されます。

その他にも、「森美術館+東京シティビュー パスポート」のデザイン変更や、5月下旬にオープンするカフェ&レストランも紹介されました。料理、演出、サービス全てにアートを感じる事が出来る空間として、カジュアルな雰囲気で気軽に利用出来る「Museum Cafe THE SUN」、アートと食の融合をテーマとした「Museum Restaurant THE MOON」がオープンします。「Museum Restaurant THE MOON」では、ランチ、ディナーともに、シーンにより選べる3コースが用意されます(ランチ 2700円/4000円/7000円 ディナー 7000円/10000円/15000円)。

森美術館では、リニューアル後に4つの展覧会が開催予定となっています。

「シンプルなかたち展:美はどこからくるのか」 2015年4月25日(土)-7月5日(日)
「ディン・Q・レ展:明日への記憶」 2015年7月25日(土)-10月12日(月・祝)
「村上隆の五百羅漢図展」2015年10月31日(土)-2016年3月6日(日)
「フォスター+パートナーズ展」2016年1月1日(金・祝)-2016年2月14日(日)

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