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映画「それでも夜は明ける」公開

By the editors of TECHNÉ, posted at 12:00 AM on March 8, 2014

2014年3月7日(金)から、映画「それでも夜は明ける」が公開されました。

本作の監督を務めるのは、ターナー賞を受賞するなど現代美術作家としても活躍するスティーヴ・マックィーン。映画の原作は、南北戦争が勃発する8年前の1853年に出版されベストセラーとなった、アフリカ系アメリカ人ソロモン・ノーサップの回想録です。生まれながらの自由黒人だった彼が強いられた、12年間に渡る生々しい奴隷生活が描かれた手記の中では、従属するとはどういうことかが暴露されています。1865年まで続いた奴隷制度で、約1100万人のアフリカ人がアメリカ大陸へ渡しました。そのうち、約40万人がアメリカ合衆国に連行され、彼らの子孫は約400万人にまで増加しました。1808年に海外からの黒人輸入が禁止されてからは、奴隷の供給がストップし、価格が高騰していく中で、ソロモンのような自由黒人を誘拐しては売り飛ばすという犯罪が増加しました。奴隷の物語は多々出版されましたが、自由黒人から奴隷の身となった経験を記したのはソロモン一人であり、同じ自由な身を持つ人間の体験として誰もが共感できたため、当時大変な反響を呼んだと伝えられています。

スティーヴ・マックィーンは、この原作に出会う前から同様の企画を考えていました。この着想を妻に話したところ、彼女がソロモンの回想録を見つけ、それを読んだマックィーンはこの信じられない実話に驚愕したといいます。「人間が驚くほど非人間的な扱いを受けた注目すべき物語だ。ある男が家族から引き離され、暗いトンネルに引きずり込まれる。ただ、その先には光が見えるんだ。」マックィーンは、ソロモンの物語を今すぐ世界に伝えるべきだと決意し、「アンネの日記」と同じく、世界の歴史において重要だと感じ、映画化に向けて動き出しました。

本作のプロデュースを担当したのは、俳優としても人気のブラッド・ピット。ブラッド・ピットは本作にも俳優として数分出演していますが、マックィーンはブラッド・ピットについて「ブラッドが参加しなかったら、この映画は製作されなかったと思う。彼はプロデューサーとして、全力で僕たちを支援してくれたし、俳優としては、数分登場しただけで誰よりも多くのことを伝えることができるから、本作ではソロモンにとって重要な役を演じてもらった。ブラッドとプランBプロダクションズにはとても感謝している。」とコメントしています。

【ストーリー】
バイオリニストのソロモン・ノーサップ(キウェテル・イジョフォー)は、幸せな暮らしを送っていた。愛する妻は腕の良い料理人で、幼い娘と息子も元気に育っている。1841年、アメリカ・ニューヨーク州サラトガ。ソロモンは生まれた時から自由証明書で認められた自由黒人で、白人の友人も多くいた。
ある時、知人の紹介で、ワシントンで開催されるショーでの演奏を頼まれる。契約の2週間を終え、興行主と祝杯をあげたソロモンは、いつになく酔いつぶれてしまう。翌朝、目が覚めると、ソロモンは小屋の中で、手と足を重い鎖につながれていた。様子を見に来た男たちに身分を告げるが、彼らは平然と「おまえは南部から逃げてきた奴隷だ」と宣告し、認めないソロモンを激しく鞭打つ。興行主に騙されて売られたと気付いた時には、既に船の上だった。屈強な二人の黒人たちと共に反乱を目論むが、女を助けようとした一人が虫でも潰すように刺し殺されるのを見て、戦意を失ってしまう。ニューオーリンズの奴隷市場に着くと、奴隷商人(ポール・ジアマッティ)から無理やり“ソロモン”という名前すら奪われ、男も女も全員裸で並べられ、子どもは「将来は立派な家畜になりますよ」と紹介される。こうしてソロモンは、大農園主のフォード(ベネディクト・カンバーバッチ)に買われていく。有能なソロモンはすぐにフォードに気に入られるが、大工のティビッツ(ポール・ダノ)からは何かと難癖をつけられる。ついにソロモンの中で何かが弾け、殴りかかるティビッツに反撃してしまう。仲間を引き連れて戻ってきたティビッツは、ソロモンの首に縄をかけて木に吊るす。監督官が彼らを銃で追い払うが、フォードが戻るまで、ソロモンはかろうじて爪先が地面に着く状態で何時間も放置される。フォードは面倒を起こすソロモンを、借金返済を兼ねてエップス(マイケル・ファスベンダー)に売る。フォードは優しい主人だったが、所詮奴隷は“財産”なのだ。広大な綿花畑を所有するエップスに仕え始めたソロモンは、今まではまだ地獄を覗いていただけだと悟る。エップスは、とても正視できない暴力で奴隷たちを支配し、まだ年若いパッツィー(ルピタ・ニョンゴ)をサディスティックに弄ぶ。ソロモンに信頼を寄せたパッツィーは、ある夜「自分を殺してくれ」と頼むが、彼にはできない。焼け付く太陽の下でひたすら綿を摘み、少ないと鞭打たれ、逃亡奴隷の処刑を目撃し、信じた白人に裏切られ、仲間であるパッツィーの鞭打ちを命じられる──絶望の暗黒の中、ソロモンを支えたのは、もう一度家族に会いたいという願いだけだった。そしてソロモンは、カナダ人の奴隷解放論者バス(ブラッド・ピット)に、最後の望みを託す。家族も、財産も、名前さえもを奪われたソロモンが、唯一失わなかったものとは──?

本作は第86回アカデミー賞において、作品賞、助演女優賞、脚色賞の主要部門を受賞しました。映画「それでも夜は明ける」は3月7日(金)TOHOシネマズ みゆき座他 全国順次公開。

公式サイト:http://yo-akeru.gaga.ne.jp

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