2012年10月24日、国際交流基金本部にて、アラブ首長国連邦で開催される「シャルジャ・ビエンナーレ11」のプレスカンファレンスが開催されました。
11回目を迎える本展は、東京都現代美術館チーフキュレーターの長谷川祐子さんがキュレーターとして招かれました。この日はシャルジャ芸術財団代表のシェイカ・フール・アル・カーシィミさんも訪れ、展覧会について語りました。
キュレーターに就任された長谷川さんは本展覧会について「コートヤード」(中庭)をプロポーザルしました。シルクロードはかつて、経済の交流と発展を促進し、文化を大きく変容させました。これらの過去の遺産を現在の文脈に照らして見直すことで、現代人の方向性を定め直すと共に、アラビア半島が担ってきた文化的な意味合いを再検討する事になると考えた長谷川さんは、14世紀の旅行家イブン・バットゥータの旅行記に着目しました。イブン・バットゥータの旅は、同時代を生きたマルコ・ポーロとは異なり、イスラム哲学とコーラン研究の伝統を背景に見聞きした事象を感知しました。そして各地のホスト達と知識と叡智を語り合い、学び合いました。こうした語らいの場となったのが、イスラム式中庭でした。土地に根付く文化の記憶を蓄積する中庭には存在の豊かさがあると考えた長谷川さんは、本展覧会のテーマとして「コートヤード」を選びました。
本展覧会は、街の景観を取り入れたサイトスペシフィックな作品から、イスラムの文化や歴史等のローカライズされた作品も多数展示されます。会期は2013年3月13日から5月13日までとなっています。