松本俊夫の蟷螂の斧
1960年代より映像作家として活躍し、当時生まれつつあった革新的な映像表現に大きな影響を与えてきた松本俊夫さんが更なる探求に挑みます。共通テーマに基づいて制作された複数の作家によるオムニバスを、各作家の許可を得た上で松本さんが解体・再構成。作家のまなざしが渾然一体となった前代未聞のコラボレーション・ビデオ2作品を一挙上映します。
そのコラボレーションは、近代の個性をはみ出した共同体の時代感性とでも言うべき匿名的な間主観性を体現していくのではないでしょうか--松本俊夫
上映スケジュールは2012年11月3日と4日の2日間限定、イメージフォーラム・シネマテークにて上映されます。
【作品紹介】
記憶巡礼
2011年/52分/企画・構成:松本俊夫/プロデューサー:佐野眞澄
万象無常
2012年/35分/企画・構成:松本俊夫/プロデューサー:佐野眞澄
参加作家:タノタイガ、稲垣佳奈子、大木裕之、奥野邦利、田中廣太郎/協力:加藤愛
【作家紹介】
松本俊夫
映像作家、評論家。1932年、愛知県名古屋市生まれ。55年、東京大学文学部美学美術史学科卒業。56年、実験工房協力の『銀輪』でデビュー。「記録映画」「季刊フィルム」などの雑誌で映画運動家として論陣を張りつつ、60年代初頭に『西陣』『石の詩』などの前衛的な記録映画を手がけた。69年に『薔薇の葬列』を監督して劇映画にも進出。実験的な劇映画への挑戦は、その後71年 の『修羅』、73年の『十六歳の戦争』、88年の『ドグラ・マグラ』へと繋がっている。 並行して『つぶれかかった右眼のために』『新陳代謝』『アートマン』『気』『シフト』『記憶痕跡』『ナラトロジーの罠』など、数々の先駆的な実験映画やビデオ・アートを発表し、日本を代表する実験映像作家としても活躍。著書に「映像の発見」 「表現の世界」(清流出版)、「幻視の美学」(フィルムアート社)、「映像の探求」(三一書房)ほか。
狩野志歩
映像作家。1974年生まれ。武蔵野美術大学造形学部映像学科卒業。スイスの「バイパーインターナショナルフェスティバル」(1999年)奨励賞、カナダの「イメージズフェスティバル」(2001年)ベストインターナショナルフィルムアワード受賞。 「C’est pas du cinema!」展(2002年、フレノア現代美術スタジオ)、「イマジネーション 視覚と知覚を超える旅」展(2008年、東京都写真美術展)などに参加。武蔵野美術大学パリ賞受賞。2005~2006年、文化庁新進芸術家海外留学制度によりパリ国際芸術都市にて滞在制作。
田中廣太郎
1979年東京生まれ。 作品はイメージフォーラムフェスティバル、ロッテルダム国際映画祭、European Media Art Festiva1など 国内外問わず多数の映画祭で上映、受賞。
タノタイガ
東京生まれ、仙台育ち。立体造形、映像、パフォーマンス等、多様な表現手法によって、記号性と媒体性を誇張した風刺的表現を行う。ときには、作者自身を媒体化することで日常に埋もれた社会や集団の倫理性を表出させ、作品の中にはユーモアと毒を兼ね備える。東日本大震災では自らのボランティア活動をタノンティアと名付け、自身のブログで募った不特定多数のボランティアと共に瓦礫撤去作業などの活動を続けている。
稲垣佳奈子
1980年岡山県出身。女子美術大学芸術学部デザイン科卒業。卒業制作で初めて映像作品を制作し、JEANS FACTORY04で大賞受賞。(株)電通西日本クリエーティブ室にてディレクターとして勤務した後、現在専業主婦、子育て中。山形国際ドキュメンタリー映画祭などに参加。
大木裕之
1964年東京生まれ、高知在住。東京大学工学部建築学科卒業。大学在住中から映像制作を始め、高知県立美術館制作による『HEAVEN-6-BOX』 (ベルリン国際映画祭でNETPAC賞受賞)など現在までに100本以上の作品を制作するほか、ギャラリーでのインスタレーションやパフォーマンス、イベント企画、高知よさこい祭りにチーム「M・I」を率いて参加するなど多元的にアクションをしている。
奥野邦利
1969年東京生まれ。日本大学大学院芸術学研究科映像芸術専攻修了。一時期都内の花火打上げ会社に勤務するも、現在は同大学芸術学部映画学科教授として学生と共に創作・研究を続けている。記憶と現実と不在について、考えては創作し、創作しては考え、そして映像芸術の未来について思いを巡らしている。山形国際ドキュメンタリー映画際、ブルックリン国際映画祭、実験映画・ビデオフェスティバル イン ソウルなどに参加。日本映像学会、日本アニメーション学会理事等を歴任。
小沢剛
1965年東京生まれ。東京芸術大学在学中から、風景の中に自作の地蔵を建立し、写真に収める《地蔵建立》開始。93年から牛乳箱を用いた超小型移動式ギャラリー《なすび画廊》や《相談芸術》を開始。99年には日本美術史への皮肉とも言える《醤油画資料館》を制作。2001年より女性が野菜で出来た武器を持つポートレート写真のシリーズ《ベジタブル・ウェポン》を制作。2004年に個展「同時に答えろYesとNo!」(森美術館)、2009年に個展「透明ランナーは走りつづける」(広島市現代美術館)を開催。
場所:イメージフォーラム・シネマテーク(渋谷区渋谷2-10-2, 3F)
料金:当日700円/会員500円
上映スケジュール:11/3(土) 15:30/17:45・11/4(日) 15:30/17:45
※1プログラムで『記憶巡礼』『万象無常』を続けて上映
特別トーク:11/3(土) 17:00~(30分予定)
松本俊夫(本作品企画・構成)×タノタイガ(本作品参加作家)
※特別トークはチケットの半券でご覧いただけます。
サイト:http://www.imageforum.co.jp/cinematheque/962/index.html
スタンリー・キューブリック監督などのドキュメンタリー映像が公開
ワーナーブラザースの特設サイト「FILM MAKERS/名監督ドキュメンタリー〈映画製作の舞台裏〉」が公開され、スタンリー・キューブリック監督の映画製作に関するドキュメンタリー映像が配信されています。
ケネス・アンガー『マジック・ランタン・サイクル』HDリマスター
時代を越え、ジャンルを越え、名だたるクリエイターに多大なる影響を与え続けているケネス・アンガーの呪術的イメージの集大成『マジック・ランタン・サイクル』が、2021年3月12日(金)劇場公開されます。
映画『ホドロフスキーのサイコマジック』4月24日公開
アレハンドロ・ホドロフスキーの新作にして集大成とも言える映画『ホドロフスキーのサイコマジック』が、2020年4月24日より、アップリンク渋谷、アップリンク吉祥寺、新宿シネマカリテほかにて全国順次公開されます。