〈選挙〉無投票当選の地方議員が多数誕生
2019年4月7日から2019年4月21日まで、第19回統一地方選挙が開催され、各地方で投票が行われずに当選する“無投票当選者”が続出しています。
今回の統一地方選挙では、津や高松など、27の市で行われた市長選挙に1名しか立候補者がおらず、各市で無投票当選が決まりました。また、福井県敦賀市で開催された市議会議員選挙では、戦後初となる無投票当選となり、現職16人、新人8人、合計24人の当選が決まりました。おなじく福井県の福井市議会議員選挙(投票日が4月21日)は定数32人に対して36人、小浜市議会議員選挙(投票日は同様に4月21日)は定数18人に対して20人と、無投票当選ではありませんが、高い当選確率となっています。今回の統一地方選挙に限らず、2019年1月27日に告示された静岡県焼津市の市議選では、定数21人に対し、現職13人、新人7人、元職1人の合計21人で、全員の無投票当選が決まりました。
【そもそも地方議員の仕事とは?】
地方議員の主な仕事は、地方自治体のチェック、条例の制定、各審議など、様々な仕事があります。市長と市議会は別々の権力を持つ「二元代表制」が採用されており、別々の権力を持っています。予算を決定するのは自治体の長であり、議会は質問をするのみとなります。そして、条例で定められた年4回開催される定例会に出席し、議会を行います。それ以外にも、タウンミーティングを開催するなどして市民の声を集める事も重要な仕事となっています。市議会議員と県議会議員の違いは、双方の経験を持つ水野ゆうきさんがブログにて紹介しています。
https://ameblo.jp/yuukimizuno/entry-12105261058.html
2015年の統一地方選挙では、約1200人の地方議員が無投票で当選しています。無投票当選では、市民のチェックが働かないため、中には当然、志が低い当選者もいます。2014年には、号泣会見が話題となり、政務活動費を騙し取ったとして懲役3年を求刑された元県議の杜撰な管理が大きく報じられました。この元県議は、詳細もない、領収書もない不可解な政務活動費の支出を繰り返したところ、同じ県議会議員から指摘され、問題が発覚しました。この指摘がなければ、公にならなかった問題となります。無投票の当選では、こういった議員を“量産”しかねない現状にあります。
【日本の地方議員は多い?ロンドンはたったの25人】
多数の無投票当選地方議員を排出する日本に対し、約879万人(2016年時点・外務省HP参照)の市民が暮らすイギリス・ロンドンの議会は、定数が25人となっています。日本の地方議員と役目はほぼ同じで、ロンドン市長の市政を監視し、「Mayor’s Question Time」として年に10回、議会議員が市長に質問を実施します。議員の3分の2以上の反対で、市長の戦略と予算案を修正・拒否する事が出来ます。
定数24人が戦後初となる無投票当選となった福井県敦賀市の人口は66,056人(2018年時点・市のHP参照)となっています。