2015年7月11日(土)から、横浜美術館にて「蔡國強展:帰去来」が開催されます。
蔡國強(ツァイ・グオチャン)は1957年中国福建省泉州生まれ、ニューヨーク在住の作家です。上海戯劇学院で舞台美術を学んだ後、1986年末から1995年まで日本に滞在、筑波大学で学びます。日本滞在中に、実験を重ねて火薬の爆発による絵画を発展させ、一躍内外の注目を浴びるようになります。日本での約9年にわたる創作活動を経て、1995年以降はニューヨークに拠点を移し、世界を舞台に創作活動を続けています。1999年には第48回ヴェネチア・ビエンナーレ「国際金獅子賞」を受賞。2008年の北京オリンピックでは、開会式・閉会式の視覚特効芸術監督として花火の演出を担当し、その様子は世界中に中継され注目を集めました。近年の展覧会に「透明モニュメント」メトロポリタン美術館(2006年)、「アイ・ウォント・トゥ・ビリーブ」ソロモン・グッゲンハイム美術館、中国美術館(2008年)、ビルバオ・グッゲンハイム美術館(2009年)、「蜃気楼」アラブミュージアム・オブ・モダン・アート(2011年)、「スカイ・ラダー」LAMOCA(2012年)、「農民ダヴィンチ」ブラジリア、サンパウロ、リオ・デ・ジャネイロ巡回(2013年)、「Falling Back to Earth/帰去來兮」クイーンズランド州立美術館(2013年)、「九級浪」上海当代芸術博物館(2014年)等があります。
本展では、99体の狼のレプリカによって構成された近年の代表作《壁撞き(かべつき)》が日本初公開となる他、大規模な火薬による平面作品と、テラコッタによるインスタレーションが新たに制作され展示されます。タイトルの「帰去来」(ききょらい)は、中国の詩人・陶淵明(とうえんめい)の代表作「帰去来辞」(ききょらいのじ)から引用されています。官職を辞して、故郷に帰り田園に生きる決意をしたこの詩は、現実を見つめ、己の正しい道に戻り、自然に身をゆだねる自由な精神を謳っています。泉州から日本を経てニューヨークへ渡り、華々しい活動を続ける蔡國強が、アーティストとして自由な創作を開始した日本という原点に戻るという意味がタイトルに示されています。
蔡國強が日本で行う展覧会は7年振りとなります。この機会に是非ご高覧ください。