2015年5月23日(土)から、原美術館(東京・品川)にて、サイ・トゥオンブリーの個展が開催されます。
サイ・トゥオンブリーは1928年アメリカヴァージニア州生まれの作家です。20代の終わりにイタリアへ移住し、少しずつ大西洋の両側で孤高のアーティストとして評価を高めて行きました。トゥオンブリーの一貫して孤高な創作活動は1970年代末に転機を迎えます。1979年、ニューヨークのホイットニー美術館がトゥオンブリーの回顧展を開催、同じ年に作品のカタログレゾネ(総目録)第一巻も発行されました。同書には、フランスの高名な哲学者で批評家のロラン・バルトがトゥオンブリー論を寄稿しました。こうしてトゥオンブリーは、1980年代に入って国際的に高い認知度を得るようになりました。そして、1994年に今度はニューヨーク近代美術館(MoMA)で回顧展が開かれ、翌1995年、テキサス州ヒューストンのメニル・コレクション美術館に、トゥオンブリー作品だけを展示する別館《サイ トゥオンブリー ギャラリー》がレンゾ ピアノの設計で完成しました。そして晩年は、高松宮殿下記念世界文化賞(1996年)、ヴェニス ビエンナーレ金獅子賞(2001年)、レジオンドヌール シュヴァリエ勲章(2010年)と数々の賞に輝き、世界的な美術家として揺るぎない名声を獲得しました。
本展は、トゥオンブリーの類まれなキャリアを、紙の作品(ドローイング、モノタイプ)によって回顧するもので、1953年から2002年までの 50年間に制作した紙の作品約70点が展示されます。本展は、2003年にサンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館で開催された展覧会が原型です。これは、同館初の外国人キュレーターであるジュリー・シルヴェスター(現・サイ トゥオンブリー財団)が企画し、トゥオンブリー自身が作品の選定に関わったものです。トゥオンブリーは残念ながら2011年に亡くなりますが、サイ トゥオンブリー財団の全面的協力により、このたび原美術館で開催することになりました。日本ではいくつかの美術館がトゥオンブリーの作品を収蔵していますが、日本の美術館では初めての個展開催となります。
「サイ トゥオンブリー:紙の作品、50年の軌跡」の会期は2015年5月23日(土)から8月30日(日)まで。この機会に是非ご高覧下さい。