2014年5月25日(日)から6月21日(土)まで、タカ・イシイギャラリー (東京・清澄)にて、荒木経惟さんの個展「左眼ノ恋」が開催されます。
タカ・イシイギャラリーでの21回目の個展である本展では、最新の撮り下ろし作品よりセレクションした作品65点が展示されます。「左眼ノ恋」という題名は、エド・ヴァン・デル・エルスケンが1954年に出版した写真集『セーヌ左岸の恋』(Love on the Left Bank、1954)の題名にかれられています。荒木さんは、20歳の頃に『セーヌ左岸の恋』の写真集を見て、女性に同じポーズをさせて写真を撮っていました。本展は、荒木さんのエルスケンへのオマージュでもあります。
2013年10月、右眼網膜中心動脈閉塞症により右目の視力を失った荒木さんは、以前と変わらない精力的なペースで、2013年末から2014年にかけて写真を撮り続けました。数百点にも及ぶイメージで構成された本シリーズでは、撮影したポジフィルムの右部分を黒マジックで塗りつぶし、そのポジから写真をプリントしています。写真はそのまま左眼と右眼の視界を投影し、右側部分は翳りのある視界を表しています。
展覧会に合わせて、作品集『左眼ノ恋』が刊行されます。精力的に撮影を続ける荒木さんの現在を映す本シリーズは、「写真 = 人生」ととらえる写真家の宣言ともいえます。この機会に是非ご高覧下さい。