武田陽介「Stay Gold」

2014年3月22日(土)から4月19日(土)まで、タカ・イシイギャラリー (東京・清澄)にて、武田陽介さんの個展「Stay Gold」が開催されます。

武田陽介さんは1982年、愛知県生まれの作家です。2005年に同志社大学文学部哲学科を卒業。大学在学中、武田さんは銀塩写真の暗室作業に没頭します。しかし、印画紙の生産中止等、従来の銀塩写真の制作が漸次的に困難になる状況が、作家に写真というメディウムに対して自覚的にならざるを得ない転機をもたらしました。私たちが像を見るという行為は変わらないながらも、像を定着させる支持体が大きく変化しようとする真っただ中にあって、写真を制作し続けるとはいかなることかという、極めて大きくも繊細な応答が必要とされる問いに武田さんは挑むようになります。以降、銀塩写真からデジタル写真へと移行した武田さんの、写真というメディウムに対する透徹した制作意識を湛えた作品群は、その独特の構図から導かれるフラットな画面とともに発表時から高く評価されてきました。

「Stay Gold」展は、3月26日より空蓮房(東京・蔵前)、TRAUMARIS│SPACE(東京・恵比寿)、タカ・イシイギャラリー モダン(東京・六本木)においても開催されます。本展と併せて、自身初の作品集『Stay Gold』もスーパーラボより刊行予定です。それぞれ異なるコンセプトに基づいた合計4か所での展示と、今回刊行される初の作品集を通じ、自身の全体像を提示しようとする意欲的な試みとなっています。

印画紙に像を定着させるという行為と、デジタルデータをモニターディスプレイで操作するという行為の間に立って、写真の可能性を探り続ける作家の現在進行形の姿を、この機会に是非ご高覧ください。

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