TOLOT/heuristic SHINONOME(東雲)にて、2013年6月8日から7月27日まで、グレゴール・シュナイダーがインドのコルカタで行った最新プロジェクト「It's All Rheydt」から、新作を含む、映像、写真、立体の作品が展示されています。
グレゴール・シュナイダーは、1969年ドイツ・ライト生まれの作家です。12歳で作品制作をはじめ、16歳でドイツ国内にて個展を開催。2001年には第49回ヴェニス・ビエンナーレ金獅子賞受賞を受賞しています。ロサンゼルス現代美術館やK21美術館(ドイツ)、MMK (フランクフルト)などで大規模な個展も開催されました。近年はハンブルグ現代美術館やメンヒェングラートバッハ美術館に大規模なサイト・スペシフィックの彫刻、空間を展示して話題になりました。2010年にはPeill prizeを受賞しています。
今回の展示では、代表作ともいえる「Haus ur」から、写真作品、立体作品の他、2005年の「Kaba」の写真作品も展示しています。これは、イスラム教のメッカにあり、ムスリムしか入ることを許されていないカーバ神殿をヴェニスのサンマルコ広場に再現しようとし、「政治的な理由」で拒否されたために、コンピュータグラフィックをもちいた写真によって作品化したものです。
そして今回、日本初公開となる「It’s All Rheydt」は、インドのコルカタで2011年におこなわれた同名のプロジェクトを作品化したものです。インドの伝統的な祭典「ドゥルガ・プージャ」にて、シュナイダーは、ドゥルガの女神像を飾るための建物を、彼の生まれ故郷ライト(Rheydt)の道路をそのまま再現した形状で構築しました。この祭典のクライマックスにおいては、飾った女神像を川に投げ込むのですが、シュナイダーは川に流された女神像をその後引き上げ、ドイツのギャラリーで写真や映像とともに作品として展示しています。また、このプロジェクトを2012年のドクメンタで再現しようとした際には、運営側から拒否され、断固抗議した経緯があります。今回の展覧会では、このプロジェクトから映像作品と写真作品を展示しています。
また、同会場ではグレゴール・シュナイダーの新作の他に、ワコウ・ワークス・オブ・アートの全作家による作品展示も行われています。昨年末から今年にかけて開催され話題となったゲルハルト・リヒターの新作展「Strip Paintings and 8 Glass Panels」で展示されたStripシリーズの他、ヴォルフガング・ティルマンスの2メートルにおよぶ大きな作品、横井七菜さんの油彩画、ジェームズ・ウェリングのフォトグラム(フィルムを使わない写真)作品、横溝静さんの代表作「ストレンジャー」など、多くの絵画作品、写真作品が展示されています。
また、「罠」をテーマにした作品で知られるアンドレアス・スロミンスキー、哲学的な思考によって空間そのものを提示する竹岡雄二さん、詩的なイマジネーションにユーモアと遊び心が加わった美しい形状を生み出すヘンク・フィシュなど、立体作品も多彩な顔ぶれで展示しています。
このギャラリー・セレクション展では、TOLOT/heuristic SHINONOMEの8つのキューブのうち4つを使い、約40点の作品が展示されています。この機会にぜひご高覧下さい。
Gregor Schneider at TOLOT/heuristic SHINONOME
Gallery Selections at TOLOT/heuristic SHINONOME
会期:2013年6月8日(土) - 7月27日(土)
http://www.heuristic.com/tolot/