東京の小山登美夫ギャラリー、8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Galleryにて、ライアン・マッギンレーの個展が同時開催されます。
微細で洗練された色彩と構図を持ったライアン・マッギンレーの写真作品が表現するのは、自由で過激、そして時に純粋でもある桃源郷のような世界で、そこには常に時代の空気が捉えられています。2000年、弱冠22歳のマッギンレーは、ニューヨーク・ローワーイーストサイドに住むアーティスト、ミュージシャン、スケートボーダーといった友人達の生活を撮影し、大型写真作品として自主企画の展覧会で発表しました。同時に自費出版した50ページの作品集 "The Kids Are Alright"(タイトルはバンドThe Whoのドキュメンタリー映画より)が話題になり、その3年後にはホイットニー美術館で同館史上最年少の作家として個展を開催しました。
マッギンレーの作品は、自身やその世代の日々のリアリティを記録する作品から、入念に仕掛けられ、均衡でありながらも何が起るのか予期できない状況にある被写体の瞬間を捉える作品へと変化していきました。2003年の夏、友人やモデル達とバーモント州の別荘に滞在し撮影を行っていたマッギンレーは、この時「撮影を演出する」可能性を見いだしたと言います。モデルのありのままの姿を記録する過程で、彼は段々と「被写体が思わず自分を忘れてしまうー例えば裸のモデル達が木の枝に登る、または夜中に水中をさまようーような状況」を演出し、陶酔感の中にあるモデル達の瞬間をカメラに収めるようになりました。以降マッギンレーは、田園風景、野外コンサート会場、あるいはスタジオの中で、巧妙にそして注意深く光を操りながら舞台を作り、35mmの粒子の粗いフィルムで、まるで映画を撮るかのように自らが作り出した「ハプニング」を撮影しています。
清澄の小山登美夫ギャラリーでは、2007年に行われた8人の友人達との大陸横断旅行で撮影された作品が展示されます。彼の代表作とも言えるこのロードトリップのシリーズでは、マッギンレーは砂漠や青青とした草原といった広大な自然の中で、被写体を異常でスリルのある場所に配置し、時には自身が上下逆さまになって撮影を行います。渋谷ヒカリエの8/ART GALLERY/ Tomio Koyama Galleryでは、生きた動物と裸のモデルをスタジオ内で撮影した、最新シリーズ"Animals"が展示されます。
今回、清澄の小山登美夫ギャラリーと、渋谷ヒカリエ内の8/ART GALLERY/Tomio Koyama Galleryで開催されるマッギンレーの展覧会は国内初の個展となります。およそ2m×3mの大型作品が展示されるこの同時展覧会をこの機会に是非ご高覧下さい。
ライアン・マッギンレー「Reach Out, I'm Right Here」
2012年9月1日(土)~2012年9月29日(土)
小山登美夫ギャラリー(清澄) 7F
開廊時間:火-土曜日 12:00-19:00
休廊日:日.月曜日 及び 祝日
オープニングレセプション:
9月1日(土) 6:00 - 8:00pm
公式ウェブサイト
http://www.tomiokoyamagallery.com/