2012年2月29日から、ミヅマアートギャラリーにて指江昌克さんの個展「見えざる手」が開催されます。指江昌克(さしえ・まさかつ)さんは74年金沢市に生まれ、以来現在まで金沢にて制作活動を続けています。その作品の多くはキャンバスに油彩で描かれ、瓦礫の山に浮かぶ球体の街は指江さんの代名詞ともいえるモチーフで、瓦礫は主に消費文化や近代化に伴うスクラップ&ビルド、時に戦争や災害のもたらす日常生活の崩壊を象徴します。
今展のタイトル「見えざる手」は市場経済の原型を成し、巨大な市場と文明の加速度的な発展を、そして金融危機と数多くの社会問題を、それに伴う複雑な制度や規制を次々に生み出し続ける社会を表わしています。70億人もの個人が日々生み出し続ける瓦礫の中に立つ都市は、「見えざる手」によって作られているこの世界そのものです。その上に超然と浮かぶ球体に、指江さんは何を示唆し、そこに私達は何を見るのでしょうか。
今展では高さ3.3mのふすまを使った作品を中心に、5点の新作で構成されます。精緻な観察と対比によって生み出されるのは、この世界を真摯に映し出す鏡です。
この機会に是非ご高覧下さい。