タカ・イシイギャラリー(東京・清澄)にて、2月25日(土)から3月24日 (土)まで、アムステルダムを拠点に活躍するマライケ・ファンヴァルメルダムのギャラリー初個展が開催されます。明快かつ透明感溢れるループ映像作品で知られるファンヴァルメルダムの出展作「Face to face」は、コンゴウインコの群れが一本の木の周りを飛び、まるで鳥たちがこの木に強く惹きつけられているかのようです。
人間には何の変哲もない物質に顔や何か別の物を見ようとする原始的本能があり、この映像作品の中の鳥にもその習性があるように見えます。私にとって作品「Face to face」は、単に鳥と木の出会いではなく、作品の鑑賞者と木との出会いなのです。
マライケ・ファンヴァルメルダム
作品「Face to face」に加え、映像のスチル画像をキャンバスにプリントした、一連のペインティング作品が展示されています。彼女のループ映像作品群の特徴である、そぎ落とされたビジュアル、速度、反復とその明快さは、これらのペインティング作品にも共通するものです。
キャンバスにプリントされたスチル画像の花々は、小枝があまりにも速い速度で動いているため筋状の痕跡にとどまり、まるで誰かが花の絵の表面を絵筆でこすりつけたかのようです。 この凍りついたフィルムの瞬間を再現せずにはいられず、ファンヴァルメルタムはバケツとほうきを用いてプリントされたスチル画像に手を加えることにより、既にそこにある凍りついた瞬間を描く「逆さの絵画」を作り始めました。
大型の作品「Blossom」シリーズの出発点は、「イメージが既に内包しているものを強調する」ということでした。
マライケ・ファンヴァルメルダム
1959年にオランダで生まれたマライケ・ファンヴァルメルダムは、アムステルダムを拠点に活動し、ここ数年はカールスルーエでも活動しています。彼女の作品はこれまでシドニー、ベルリン、光州、ヴェネツィアなどの国際的なビエンナーレにおいて紹介され、1997年にはカッセルでのドクメンタXに参加しました。またファン・アッベ市立美術館(アイントホーフェン)、ミグロス美術館(チューリッヒ)、ボストン現代美術館、アントワープ現代美術館、マルセイユ現代美術館、フルーツマーケット・ギャラリー(エジンバラ)、アイコン・ギャラリー(バーミンガム)にて回顧展が開催されています。日本国内では、現代美術センター・CCA北九州(1999年、2002年、2005年)、京都国立近代美術館(2000年)、東京都現代美術館(2007年)などで作品を展示いたしました。また、現在ロッテルダムのボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館にて開催中の個展「Marijke van Warmerdam - Close by in the distance」は、Serralves Museum(ポルト)とKunsthalle Dusseldorf(デュッセルドルフ)への巡回が予定されています。